乙4の性質・消火とは?試験に出る論点を完全網羅ガイドで一気に整理

性質・消火で落ちる人の理由は1つだ。品名を丸暗記して、例外で逆転される。「第4類は水より軽い」「第4類は水に溶けない」と覚えた直後に、 二硫化炭素やアセトンが選択肢に出てきて崩れる。

試験で問われるのは品名の暗記ではなく、「共通性質 + 例外 + 区分の境目」の3軸だ。共通性質を骨組みにして、例外を3パターンに分け、 7区分の境目を引火点で押さえる ── この順で頭に入れれば10問は安定する。

本記事では性質・消火の全論点を、O-PASS収録350問の出題傾向に沿って整理した。 通読しながら、論点ごとにO-PASSで該当問題を解くと、知識と試験感覚が同時に固まる。

1. 全体マップ ─ 性質・消火の3軸

性質・消火で問われるテーマは、突き詰めると次の3つに集約される。

  1. 第4類の共通性質(6項目)
  2. 7区分の品名と境目(引火点で分かれる)
  3. 消火方法(油火災への対応)

共通性質をマスター → 例外を3パターンで押さえる → 区分の境目を引火点で固定する。 この順番が王道だ。逆順にやると暗記が散らばって試験で出てこない。

2. 第4類の共通性質 ─ まず骨組みを作る

第4類危険物の共通性質は6つ。**この6つを起点に、例外で覚える**のが本質だ。

  • 引火性液体: 常温で液体で、引火性を持つ
  • 蒸気は空気より重い: 蒸気比重 > 1(**全品共通・例外なし**)
  • 静電気がたまりやすい: 電気の不良導体
  • 多くは水より軽い(液比重 < 1)── 例外あり
  • 多くは水に溶けない── 例外あり
  • 燃焼範囲(爆発限界)を持つ: 一定の濃度範囲で燃える

最重要は「蒸気は空気より重い=全品共通」。これだけは例外がない。試験で「ある第4類の蒸気は空気より軽い」と書かれていたら、 定義を考えるまでもなく誤りと切れる。

蒸気が空気より重いと、漏れた蒸気は床・くぼ地・排水溝に滞留する。 だから換気は天井付近だけでは不十分で、低所の換気が本命になる。試験では「換気は天井付近で十分」と書かれていたら誤り、と即判定する。

静電気については静電気はなぜ火災を起こすのか?で、燃焼範囲については引火点・発火点・燃焼範囲はどう違う?で深掘りした。

3. 例外の3パターン ─ ここで合否が分かれる

共通性質を覚えた次は、すぐに例外に手を付ける。 試験は例外を狙ってくるからだ。第4類で覚えるべき例外は次の3つ。

水より重い物質

液比重 > 1 の品。多くの受験者が「第4類=水に浮く」で固定するせいで、ここで外す。

  • 二硫化炭素(特殊引火物・比重1.3)
  • 酢酸(第2石油類・比重1.05)
  • グリセリン(第3石油類・比重1.26)
  • クロロベンゼン(第2石油類・比重1.11)

覚え方は「二・酢・グリ・クロロ」の4品で固定する。それ以外の品名が「水より重い」と書かれていたら誤り、と機械的に切る。

水に溶ける物質

「第4類は水に溶けない」が原則だが、これも例外がある。

  • アセトアルデヒド(特殊引火物)
  • アセトン(第1石油類)
  • メタノール・エタノール(アルコール類)
  • 酢酸(第2石油類)
  • グリセリン(第3石油類)

水溶性であることは消火方法にも直結する。 水溶性液体の火災に通常の泡をかけると、泡が液体に取り込まれて崩れる。 だから耐アルコール泡(水溶性液体用泡消火剤)が必要 ── この区別は試験で必ず1問出る。

常温で固体の物質はない(重要)

第4類は定義上すべて引火性液体で、常温(20℃)では液体。「第4類のなかに常温で固体のものがある」と書かれていたら誤り。 試験では区分の本質を確認させる選択肢として頻出する。

4. 7区分の境目 ─ 引火点で分ける

第4類は7区分に分かれる。区分の境目はすべて引火点だ(一部例外あり)。数字を覚えるのが苦手な人ほど、ここで挫折する。

区分引火点の範囲代表物質
特殊引火物発火点100℃以下、または
引火点−20℃以下+沸点40℃以下
ジエチルエーテル・二硫化炭素・アセトアルデヒド・酸化プロピレン
第1石油類引火点21℃未満ガソリン・アセトン・ベンゼン・トルエン
アルコール類炭素数1〜3の飽和1価アルコールメタノール・エタノール・1-プロパノール・2-プロパノール
第2石油類引火点21℃以上70℃未満灯油・軽油・キシレン・酢酸
第3石油類引火点70℃以上200℃未満重油・クレオソート油・グリセリン・ニトロベンゼン
第4石油類引火点200℃以上250℃未満ギヤー油・シリンダー油
動植物油類引火点250℃未満
(動植物から抽出された油)
あまに油・桐油・大豆油・ヤシ油

ここで覚えるべきは「21・70・200・250」の4つの数字だけ。これで第1〜4石油類と動植物油類の境目が引ける。 特殊引火物だけは「発火点100℃以下」というルートも併存することに注意。

アルコール類は数字ではなく「炭素数1〜3の飽和1価アルコール」と定義される特殊枠だ。 ブタノール(炭素数4)は炭素数オーバーで第2石油類に分類される ── これも頻出ひっかけ。

5. 主要物質の性状 ─ 覚えるべきはこの10物質

すべての品名を覚える必要はない。試験で繰り返し問われるのは次の10物質だ。

特殊引火物の代表

  • ジエチルエーテル: 引火点−45℃・発火点160℃・燃焼範囲1.9〜48vol%・**麻酔性あり**
  • 二硫化炭素: 引火点−30℃以下・発火点90℃(第4類で最低)・比重1.3(水より重い)・水中保存

第1石油類の代表

  • ガソリン: 引火点−40℃以下・発火点約300℃・燃焼範囲1.4〜7.6vol%・着色(オレンジ色)
  • アセトン: 引火点−20℃・水溶性・耐アルコール泡が必要

アルコール類

  • メタノール: 引火点11℃・毒性あり(飲むと失明)・水溶性
  • エタノール: 引火点13℃・水溶性・毒性は低い

第2石油類の代表

  • 灯油: 引火点40℃以上・発火点約220℃・水より軽い・水に溶けない
  • 軽油: 引火点45℃以上・発火点約220℃・性質は灯油とほぼ同じ
  • 酢酸: 引火点39℃・水より重い・水溶性・腐食性

動植物油類

  • あまに油(乾性油の代表): ヨウ素価130以上・自然発火しやすい

詳しくは引火点・発火点・燃焼範囲の数値表も参照してほしい。とくに二硫化炭素の発火点90℃と、灯油>ガソリン(引火点)・灯油<ガソリン(発火点)の逆転は最頻出だ。

6. 消火方法 ─ 第4類は油火災(B火災)

第4類はすべてB火災(油火災)に分類される。基本ルールは1つ:棒状の水は厳禁。油が水に乗って広がるからだ。

消火剤第4類への適応
棒状の水×(油が広がる)
霧状の水△(小規模なら可・引火点が高い油のみ)
泡(通常)○(ただし水溶性液体は不可)
耐アルコール泡◎(水溶性液体に必須)
二酸化炭素○(窒息消火・閉鎖空間向き)
ハロゲン化物○(抑制消火)
粉末(リン酸塩類)○(抑制消火が主)
乾燥砂○(小規模なら有効)

粉末消火剤の主効果は抑制(連鎖反応を止める)であり、冷却ではない。 「粉だから冷たそう」というイメージにだまされない。 消火原理の全体像は燃焼の3要素と消火原理にまとめてある。

7. 第4類以外の危険物との比較 ─ 性状の本質を問う

試験では第4類以外の類との比較も問われる。一覧で押さえる。

性質代表物質消火の特徴
第1類酸化性固体過酸化水素・塩素酸塩類水・棒状放水OK(過酸化物以外)
第2類可燃性固体赤リン・硫黄・マグネシウム金属粉は水NG(乾燥砂)
第3類自然発火性・禁水性黄リン・ナトリウム・カリウム水NG(乾燥砂・ハロゲンも一部NG)
第4類引火性液体ガソリン・灯油棒状水NG・泡が定番
第5類自己反応性ニトロセルロース・有機過酸化物窒息消火無効・大量の水で冷却
第6類酸化性液体過酸化水素・硝酸・硫酸はなし水で希釈(接触不可)

最も狙われるのは第5類だ。分子内に酸素を持つので、外から酸素を遮断しても燃え続ける。 「第5類火災に二酸化炭素消火器が有効」と書かれていたら誤り、と即切る。

次に問われるのが第3類の禁水性。ナトリウムや黄リンに水をかけると激しく反応する。 「全ての危険物火災は水で消える」というイメージはここで覆る。

8. 第4類の保管・取扱い ─ 蒸気を漏らさない・滞留させない

第4類の保管原則は2つ:容器を密栓して蒸気を漏らさない漏れた蒸気を低所に滞留させない。前者が予防、後者が事後対応の核心だ。

  • 容器は密栓・地下貯蔵タンクは通気管設置
  • 火気・電気のスイッチを近くで操作しない
  • 静電気対策(接地・帯電防止服・流速制御・湿度を高く)
  • 低所の換気(蒸気比重>1のため)
  • 二硫化炭素は水中保存(蒸気漏れ防止・例外的な保管方法)

二硫化炭素の水中保存は、本人が水より重く(比重1.3)水に溶けない性質を逆手に取った保管法だ。 試験では「二硫化炭素は乾燥した冷暗所で保管」と書かれていたら誤り、と判定する。

9. 受験者が崩れる10のひっかけ

「第4類は全部水より軽い」

誤り。二硫化炭素・酢酸・グリセリン・クロロベンゼンは水より重い。 「二・酢・グリ・クロロ」を覚えていれば即判定できる。

「第4類は全部水に溶けない」

誤り。アセトアルデヒド・アセトン・メタノール・エタノール・酢酸・グリセリンは水溶性。

「第4類の蒸気比重は1未満(空気より軽い)」

誤り。蒸気比重は全品1超・例外なし。これは共通性質の核心。

「アルコール類は第1石油類に含まれる」

誤り。アルコール類は独立した区分。引火点ではなく「炭素数1〜3の飽和1価アルコール」で定義される特殊枠。

「水溶性液体に通常の泡消火剤が有効」

誤り。泡が液体に取り込まれて崩れる。耐アルコール泡が必要。

「第5類火災に二酸化炭素消火器が有効」

誤り。第5類は分子内に酸素を持つので窒息消火無効。大量の水で冷却するしかない。

「動植物油類は自然発火しない」

誤り。乾性油(ヨウ素価130以上・あまに油・桐油など)は酸化熱で自然発火する。 油染みの布を丸めて積み重ねると火災になる。

「二硫化炭素は乾燥した冷暗所で保管」

誤り。蒸気漏れを防ぐため水中保存する。第4類で唯一の例外的な保管方法。

「ガソリンは灯油より発火点が低い」

誤り。発火点は灯油約220℃、ガソリン約300℃で灯油の方が低い。引火点との大小関係が入れ替わる典型的な逆転パターン。

「特殊引火物は引火点が常温より高い」

誤り。引火点−20℃以下が定義に含まれるので、常温よりはるかに低い。「特殊=危険性が高い=引火点が極端に低い」と覚える。

10. 仕上げ ─ 3軸を網にして10問取りに行く

性質・消火の10問は「共通性質 + 例外 + 区分の境目」の3軸を骨組みにすれば安定して6〜8問取れる。残り2〜4問は主要10物質の数値で取りに行く形だ。

勉強の順番は次の通り:

  1. 共通性質6項目を完璧にする(とくに「蒸気は空気より重い・全品共通」)
  2. 例外の3パターン(水より重い・水に溶ける・常温で固体はない)を語呂で固定
  3. 7区分の境目の引火点(21・70・200・250)を覚える
  4. 主要10物質の数値・特性を1物質1分で復習できる状態にする
  5. 消火方法を「燃焼の4要素を断つ」視点で整理
  6. 第4類以外の類との違い(第5類・第3類の禁水性を中心に)

法令との連動も忘れない。指定数量・保安距離・保有空地は乙4 法令 完全網羅ガイドに整理してある。物理化学の数値・原理は乙4 物理・化学 完全網羅ガイドと相互参照すると、3科目すべてが線でつながる。

本記事の論点に対応する問題はO-PASSの性質・消火問題で繰り返し解いて、共通性質と例外の組み合わせを体に染み込ませてほしい。